アイルランドを巡って

アイルランドに一人旅してきました。

私にとってアイリッシュって何なのか?
私はアイリッシュの、何を演りたいのか?
少し、わからなくなっている部分がありました。

今まで2度アイルランドに行ったものの、ミュージック・サマースクールに通うことで多くの時間を費やしていて、また夏のバカンスの時期だったので、なんとなく賑わいだ雰囲気の、非日常なアイルランドな気がしていました。なので、オフシーズンのアイルランドの日常・現状を見てみたいと思って、一人旅を決意しました。

冬は夏よりもセッションのある日は少なめ、また今回は一人旅のため車の運転は危険かと…公共の交通機関を使っての移動手段で、正味5日間の旅。
あまり欲張ることはできませんでしたが。

風は冷たく、吐く息は白い…冷たい雨も降る。
そんな中でも、夜になるとパブに集まる人達…
お酒を飲みながら、歌ったり、話をしたり…

けれど、私達日本人の多くが日本の文化や音楽からどんどん離れつつあるように、アイルランドの人達も色んなジャンルの音楽やエンターテイメントを楽しんでいて、伝統音楽をやってるのは一部の人達…
伝統音楽のセッションが行われているパブも限られています。
滞在中、そんなパブに出来るだけ行ってみたいと、日々バスや鉄道で2〜3時間の距離を移動をしては、夜な夜なパブにでかけました。
とは言え、セッションが始まるのはたいてい、夜10:00頃〜。
そろそろ眠たくなりそうな時間から盛り上がっていく、アイルランドの人達のエネルギーって?!

今回訪れた街は、ゴールウェイ、スライゴー、ウェストポート、ダブリン。
それぞれの街に1〜2日しか滞在できなかったので、行けたセッションはほんの一部。
私が出会ったセッションから感じた、あくまで個人的な感想を纏めました。

ゴールウェイ(@Tig Coili)

ダブリンに次ぐ都市で、観光客が多い。また学生の街なので、ストリートパフォーマーも多い。
若者や観光客にウケがいい音楽が求められるのか、全体的にテンポは速め、派手さがあり、セッションというより、ライヴ的な感じだった。
また短調のカッコイイ曲も多く、パフォーマンス性のある音楽でした。

スライゴー(@Foley’s/@McGarrigles)

北アイルランドに近いこの地方のレパートリーは、跳躍が多く、曲自体にエネルギーを感じた。
この街の中心を流れる川の濁流、冷たい雨…少しダークな外の空気感を払拭するような暖炉の炎が印象的だった。この地域の曲の勢いに、どこか通じるイメージを感じた。
跳躍を弾きこなすためか、リズム感に(ぶりのような)勢いがあり、またその弾き方により、この地域のレパートリーが映えていた。

ウェストポート(@Matt Molloy’s)

アイルランドでは珍しく、計画的に作られた街だそうですが、明るくお洒落な雰囲気で、夏は観光客も多いらしい。
セッションも明るく賑やかなチューンが多かった。また、さっきまでお酒を飲んでいた人達が、セットダンス(4ペア、8人が1セットでスクエアを組んで踊る)を踊りだす場面も。
ダンスで、より音楽が盛り上がっていった。

ダブリン(@The Cobbelstone)

首都だけに、色んな地域の人達が集まってきて、地域的レパートリー色は薄い。
観光客も多く、セッションは毎晩あるようで、海外からの訪問者にもウェルカム感がある。濃厚なセッションというより、フレキシブルな感じで、グルーヴ感は少し薄いようだった。

アイルランドの旅で感じたこと

今回は伝統音楽がさかんなクレア地方には行けませんでしたし、私が遭遇したのは僅かな音楽シーンですので、もっともっと滞在すれば見えてくるものも違うと思います。
けれど総括的に、パブに集まって音楽を楽しんでいるアイルランド人は、ほとんどが年輩の人達のようでした。
(観光客は若い人が多かった。またパブに来てもお酒と話が目的で、音楽にはさほど興味がなさそうな若者も多かった。)

多くの人が、CDやyoutubeで音楽を聴いている時代…
臨場感のある生演奏でないと、どうしても薄れてしまう空気感や個性。
私自身、そういう温度を感じる感覚を忘れかけていて、上手く吹けるように、かっこいい歌いまわしで吹けるように…
そんな事ばかりを念頭に置いていたことに気付きました。

バスや鉄道の移動の際、車窓から見た風景…
広大な緑の地に、ツタに覆われ、壊れかけている廃墟。
一匹ポツンと佇む犬や、草を食む羊たち。
緑を照らす日差しや、長く伸びる影。
雨に濡れてる、曲がりゆく路地。
突如覆ってくる灰色の雲、雨、そして虹。

移りゆく風景を眺めながら、あぁ、私はこの景色のような音楽が好きなんだ、とハッとしました。
なんだかちょっと儚くて、微妙な色合いがあって、いびつで不均等な中に説得力が内在している音楽。

冷たい雨、吹き荒ぶ風に、縮こまる身体。
速い川の流れの音に、感じる身震い。
暖かい部屋から出ていくのに、気持ちは萎えそうになる…
そして、例えば100年前(電気やガスが通ってなかった時代)に、アイルランドの小さな家々に、この温もりはあったのだろうか…
そんな想像をしながら、人々が寄り添ってきた音楽に再度向き合った時、古き良きアイルランドの名人達の音楽に、よりリアルな説得力と色合いを感じました。

それぞれの地域によってノリの特色があるものの、この色合いこそ、私がアイリッシュに惹かれるものかもしれません。
見失いかけていた「奏でたいもの」を、なんとか掴めた気がします。
そしてそれは、決してアイリッシュだけに限られたものではなく、音楽全般に通じることだということも…

スライゴーで、アイルランドのどこがオススメですか?と尋ねたら、スライゴー‼︎と答えられました。
自分達の地域が一番オススメ!と、アイルランドの人達はよく言うそうです。
好きな音楽を愛でながら音楽する…そこから自然に、音楽がグルーヴしていくのだということに改めて気付きました。
心の中に浮かぶ景色や、記憶に残る匂いや味わいや雰囲気…
様々な旅をしながら、また今日から音楽していきたいと思います。

ireland

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